『したたかな奴』  
 
 
  大手総合商社東和商事では、次期社長を巡り、食糧部門と資源部門を中心とした椎名副社長派とIT関連部門と金融不動産部門を中心とした金子専務派が激しく対立していた。

この権力闘争の中で、「東和ベジフル三億円の架空取引発覚か」の記事が業界誌『産業界』にリークされる。その架空取引の実行犯に仕立てられてしまった天辻。

世界規模の競争社会の中で生き残るために、大企業は自社に有利となる政策実現のために「国益」の名のもとで政府を巻き込んでいく。

利益中心の企業社会で、現代のサラリーマンは、如何なる価値基準で生きていくのか、身代わりになり懲戒解雇された天辻は、若い後輩に身代わりを引き受けた本当の理由を伝えたのだった。
 
 
 
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